誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東妖怪伝 あとがき
小説は高校の頃から書いていますが、ネットで発表するのはこの作品が初めてとなります。当初、仏現寺と仏光寺を取り違えていたというミスもあり(笑)なるべく実地に伊東の街を歩いて書いてみました。
実は、初めは美香が主役でした。しかし大人しい子が妖怪退治に出るというのも何かしっくりきませんでした。そこで魔魅を主役に変えてみたところ、たちまち元気に動いてくれ、すらすらと書けました。…作中人物のモデルが誰かは伊東市役所職員なら見当つくかもです(笑)
なお、作中の「ぶらんぽ」は、実在する観光パンフレット「ぷらんぽ」がモデルです。作成しているのは伊東市役所観光課ではありませんが。伊東に観光の際は「ぷらんぽ」を探してみてください。
ただいま次回作を執筆中につき、しばらく更新はできません。書きあがり次第、発表いたしますので、お楽しみに!0209.jpg


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伊東妖怪伝 最終章 按針祭
どうやって街まで帰ろう、と思ったが、結局消防車に乗せてもらって帰ることに。
街に戻った後、長時間に及ぶ警察の事情聴取にいらいらして、美香が「花火見られなくなるよぉ」と駄々をこね出した。苦笑した警察官がなんとか早めに切り上げてくれた。
午後八時前、ふれあいセンターの横の広場で待ち合わせ。私が行くと、入念にメイクをした百合さんとメイクをしないほうが可愛いのに塗りたくった美香が、浴衣姿で気持ちよさそうに足湯に浸っていた。
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「あら、来たわね」
「待ってたよぉ」
これだけの事件の後なのに、冷静でいられる百合さんと能天気でいられる美香は大したものだ。
揃ってぶらぶらとスクランブル交差点へ。キネマ通りのアーケードからも続々と人がやってくる。いでゆ橋を渡り川沿いの遊歩道へ。川音を聞きながら団扇をあおぎつつ川を下る。もうかなりの人出だ。ちらちらとこちらを見る男の子達が多い。…まあ主に美香と百合さんを見てるんだけど。海岸のバイパスに出たころ、アナウンスが入った。
「本日の花火大会は、離岸堤の花火が一部中止となりました」
「どーしたんだろーねぇ」と不思議そうな顔の美香。…いや、思いきり私達のせいだから。
市長の挨拶やら英語の解説やらはどうでもいい、聞き流す。童心に帰った私、いつも童心のままの美香と一緒に夜店の綿菓子やりんご飴を物色していると、ふと百合さんが呟いた。
「真魅、覚えてる?私達、天狗を燃やしたと思い込んでるけど…死体は確認してないのよね」
「えっ」と見上げた私。ひゅるるるるっ、と最初の花火が上がった。
どかんっ、と轟音と共に花火が百合さんの冷たく美しい顔を照らした。



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伊東妖怪伝 第八章 柏峠
ヘリが追いついた…というより天狗が速度を落としたようだ。まあ結局、誘導されてる感じ?木々を超えて柏峠へ。この暑いのに色んな所へ行かせる妖怪さんだ。開けた場所に一本松。あれが天狗の住処か。
降下する天狗、降下するヘリ。と、突然、松の枝が槍のように伸びてヘリのプロペラを貫いた!
p8064631-500x375.jpg「ああっ!」バランスを失って落ちていく私達の目に、天狗のにやけた顔が映った。
がたんがたん、と音を立てて不時着、あちこち痛む体でヘリから這い出す私達。
「もう飛べないぞ」とぼやく操縦士。
「おうち帰れないよぉ」と泣き言を言う美香。とりあえず、おうちより命の心配してね。
「勝負あったな」と一本松の上で仁王立ち、不敵な笑みの天狗。どうにかしたいけど、近づいたらまた枝で攻撃されてしまう…
「勝負?これからよ」…百合さん、なんで天狗に負けないくらい不敵な笑みなんですか?なんかヘリの座席の下から妙なものを取り出して、
「これ、ちょっと黙ってもらってきたの。花火玉」
…盗んだってことね。
「ほほお。投げつけるつもりか。当たらぬと思うがな」確かに、天狗の飛行速度なら普通に投げたらよけられるだけだろう。
さっとライターで導火線に火をつける百合さん。すぐに片手で背後の私と美香にサイン。…なるほど、そういうことね。
花火玉を上に投げる百合さん。美香が長い髪を揺らしつつ、飛び上がって玉を打つ…ふりをする。
よけようとする天狗、その顔にとまどいが。
すかさず私がアタック、高い鼻に花火玉が命中!見事な時間差攻撃!
ばああん!という轟音と共に天狗の体は跡形も無くなり一本松が燃え上がる!
「バレー部なめんなぁぁぁぁぁ!!!!!」
雄叫びを上げる私の横で、冷静に携帯で消防車を呼ぶ百合さん、「よかったねぇ」とのんびり微笑む美香。…たまに私が見せ場作ったんだから、もうちょい盛り上がってよ。

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伊東妖怪伝 第七章 伊東市民病院
着替える間も惜しんで、私達は市民病院へタクシーを走らせた。美香も含めて、明らかに私達は狙われている。三人揃っていれば間違いなく現れるはず。
海水に乱れた髪のまま早歩きで病室へ行く私達を看護婦が呆れて見ている。
ばんっと開けたドア、美香の白い顔、大きな目がぽかんと見ている。
かいつまんで事情を話していると、またドアが開いた。
「やあ、お揃いだな」と笑顔の津田課長。じっと見つめる私達に、笑いが止まった。
「どうした?せっかく見舞いに来てやったのに」
「もう分かっているんですよ」と百合さん。
「何が?」
「なぜ課長が仏現寺のお守りを持ちたがらなかったのか」
「……」
「なぜ課長がぶらんぽの取材を取りやめなかったのか」
「……」
「もともと全て課長の発案でしたよね」
「……」
「あなたは美香にとりついて天狗の詫び証文を破らせた。だけど美香に長時間とりつく力は無かった。大蛇には地中から、海坊主には海中から群発地震を起こさせた。だけど大地震を起こす力は無かった。証文による束縛は無くなったけれど、昔の力を取り戻すには、若い娘の生贄が必要。自分と大蛇と海坊主の分、私達三人ね。大蛇と海坊主は退治されたけれど、一人で私達をお召し上がりになるおつもりかしら?」
 怖いことをさらっと言いますね。
「…よく見破った」
課長の赤ら顔がますます赤くなる。課長の高い鼻がますます高くなる。整った髪がばさら髪になる。そう、あの時見えた顔だ。スーツの背がばりっ、と破れ白い羽根が生えた。こんな時ですが課長、天狗にスーツは似合いません。
一斉にお守りを取り出す私達三人。
「くっ」と悔しそうに顔を歪め、天狗は窓へ駈け出した。ばりんっ、と大きな音を立ててガラスを割り、天狗は瞬く間に空へ。
「屋上へ行くわよ!」走り出す百合さんの後を追う私達。廊下に出るや、階段を必死に駆け上がる。ああ、美香回復してんじゃん、良かったね。
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屋上に上がると、すでにドクターヘリがプロペラを回し始めていた。どこまで話を聞かされているのか知らないが、若い操縦士が空飛ぶ天狗をぽかんと眺めている。「なんだよ、あれ?」
「早く追って!」ばたばたと乗り込む私達。ばたばたと飛び上がるヘリ。
天狗の小さい後姿が見える。この方向は…柏峠。

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伊東妖怪伝 第六章 伊東港
「この事件の元凶さん、今日が何の日かくらい分かってるはずだけど」不審な顔の百合さん。
そう、今日は八月十日。伊東港で按針祭の花火大会がある。
揺れるボートに必死に捕まる。海坊主が本格的な嵐を起こす前に伊東港へ…ところで海坊主が作る波や風は当然海坊主の方から来るんだから、わざわざボートを逃がしていることになるんじゃないか?頭の弱い妖怪さんで良かった。
川奈沖を通過すると、海賊船のペイントをした遊覧船が慌てて向きを変えた。「何あれぇっ!」と女の子が叫ぶのが聞こえる。甲板に双眼鏡でこちらを眺めている人の姿が見える。海賊船だったら、海坊主くらい退治して下さいな。
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やっと、伊東港の離岸堤が見えてきた。その隙間へボートを入れて…後ろの海坊主は?やった、百合さんの作戦通り!通れない!
海坊主を見て一斉に固まった海水浴客達が一斉に叫んで逃げていく。ゴムボートやビーチボールが散乱する。「何あれぇっ!」だから海坊主だってば。
と見ている間に、ごりごりごりっと離岸堤が崩れだした!え、作戦失敗?
「点火して!」と百合さんが携帯に絶叫する。すぐに離岸堤の仕掛け花火とスターマインが一斉に火を噴いた!
ぐああああっ!と聞いたことも無いような声。あ、大蛇の時に一度聞いたね。
海坊主の巨体が吹っ飛び、血しぶきが散乱する。昼の花火も迫力あるねぇ。辺りが黒い肉やらどす黒い血やらでぐちゃぐちゃになる。シーシェパードが見たら勘違いして怒りそうだ。
 ボートを陸につけオレンジビーチに上がると、血まみれの海を見て海水浴客がぶつくさ言いながら帰っていく。
…最近、観光課の職員なのに観光客を減らしている気がするなぁ。

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