誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
伊東沖海戦 あとがき
夕暮
三浦按針vs伊東祐親。
伊東市民に叱られそうな企画です(笑)
按針も祐親も悪役にしにくいので、三浦按針は伊東妖怪伝に登場した天狗に化けてもらうことにしました。
海が舞台ということで伊東マリンタウン、手石島、まないた岩などの話を絡めて、海野さんのボートに乗せてもらって、と。
ついでのことに海野さんは百合と付き合っている設定に。次回作では伊豆高原教会で挙式?魔魅はともかく、美香は彼氏くらいいそうだけど、どうなんでしょう。
市役所観光課三人娘、使いやすくてもう四作も使いまわしております。ただ作中で伊東市の観光地を大分壊してしまったので(笑)正直ネタに困っているかな?
また何かまとまったらUPします。それまでしばし、さようなら。

小説 ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

伊東沖海戦 第八章 終曲
工事
翌日、松川河口。今日もいい天気。なぎさ橋が無くなっても、寄せては返す波は変わらない。楽しげに舞うカモメ達もそのままだ。桟橋で呑気に釣り糸を垂れる釣り人達も。昨日のなぎさ橋の残骸を、重機が片づけているのが見える。偽物のサンブエナベンツーラ号は、本物が生まれた場所で潰え去った。
今回の被害。伊東マリンタウンが壊滅。なぎさ橋が壊滅。手石島が行方不明。
「これで本当に終わったんですよね?」と私が質問すると
「ううん、なんかまだ出そうな予感がするけど」と心配性の百合さん。
「で、海野さんとの仲はどうやって始まったんですかぁ?」混ぜ返す美香。
「…なんで、そんな話題になるのよ」
「だって、あそこで海野さん手を振ってるからぁ」
「あ、はーい!今行きまーす!」
「え、ちょっと」と止めるのも聞かず、慌てて走っていく百合さん。ああいうキャラだったかしらん。
べたべたくっ付いてにこにこ話す二人。完全に私達を忘れてる。
「…百合さんが何となく美香に似てきたような気が」
「何それぇ」
「私も妖怪さんには好かれるんだけどねぇ」
「私も八重姫ちゃんにはくっ付かれるんだけどねぇ」
いつも百合さんに頼りまくってるから、めちゃくちゃ年上のような気がしてたけど。考えてみたら百合さんもまだ二十代前半、普通の女の子だったんだ。
頼ってばかりいないで伊東を守れるように、私もまた頑張っていこう。

小説 ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

伊東沖海戦 第七章 松川河口
下流へ向かう伊東水軍を追って、私達も川沿いの遊歩道を下っていった。なぎさ橋の向こうに、サン・ブエナ・ベンツーラ号の巨大な船影が見えてきた。
「ふん、そんな小舟でわしに逆らうつもりかぁ!」と天狗の声が響き、巨船が前進する。何のためらいもなく、なぎさ橋を直撃!がらがらがらっ、と国道135号バイパスが崩れ落ちる。クラクションの響き、人々の叫び。ひんまがった街路灯や砕けたアスファルトが伊東水軍の和船の上にどしゃん、どしゃん、と落ちてゆく。
なぎさ橋
しかし伊東水軍、120トンの洋式帆船に比べれば小ぶりの感は否めないが、数では圧倒している。
「者ども、ひるむなぁ!」
小回りの利かないサン・ブエナ・ベンツーラ号を、軽快な動きでたちまちのうちに取り巻いた。
即座に火矢が巨船に放たれてゆく。見ていて小気味よいくらいの戦上手だ。
「おのれぇ!」と叫ぶ天狗が化けた三浦按針。甲板へ何か引き出してきた。
「あ、あれ大砲じゃない?」
三浦按針が日本に漂着された時に難破船に積まれていた大砲は、関ヶ原の戦いで徳川家康が利用したらしい。妖怪達、そんなディテールまで化けてくれなくてもよいのに。
どかあん、と発射された玉は、まっすぐに伊東祐親の乗る船に命中した。砕け散る船、たまらず吹っ飛ばされる祐親。
「ああ!」と私が悔しがって叫ぶ横で、
「おのれ…」と美香が妙な声を出す。
「え、美香?あ、八重姫様…」
能天気バージョンから凛とした顔に変化した美香、颯爽と空に舞い上がった。よくころころ変われるね、この子は。
海に落ちた祐親をさっと持ち上げ近くの船に乗せた八重姫。
「おお、八重姫か?すまぬな」という祐親に微笑みかけた八重姫が可愛いなと思ったのも束の間、すぐに鬼のような形相で大砲をにらみつける。
八重姫の体が怒りの赤いオーラに包まれる。
火の玉のようになった八重姫、大砲に突進!天狗もろとも突き倒す!
たまらず、巨船が化けの皮をはがす。船体が赤っぽくなり、マストが角に…下から脚が生え、巨大な獣の姿となった。
「ああ、やっぱり大池の赤牛!」
赤牛の背に悔しそうな表情の天狗が乗っていた。すぐに飛び立とうとする。
「あの天狗を狙え!」矍鑠とした伊東祐親老人の声。頑張って後期高齢者に夢を与えてください。
たちまち火矢が放たれ、天狗の羽に火が燃えうつる。
「し、しまった…」失速し墜落する天狗。「うおおおおお!」断末魔の悲鳴を上げて赤牛の背にどさりと落ちる。下の赤牛も何百本もの矢を体に打たれ息も絶え絶えだ。ぶもおおおお、とものすごい吠え声。肉の焦げる匂いが私達のところまで漂う。こんなビフテキは食べたくない。
すとん、と私達の横に降り立った八重姫、「もう大丈夫」と凛とした顔。途端に顔がゆるみ「良かったねぇ」と美香が微笑んだ。なんだかギャグみたいな子だ。

小説 ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

伊東沖海戦 第六章 伊東祐親
以前、工藤祐経の怨霊が出た時、あの時もこんな風に川沿いを走っていた。そして音無神社と最誓寺を工藤祐経が破壊した時、怒った八重姫が美香に乗り移って…結局、祐経の怨霊は何とか退治できた。今回もそんな風にうまくいくかどうか。
息を切らして三人、音無神社と最誓寺の跡地に辿り着いた。倒れている巨木、鳥居、墓石。さすがに道路に散らばったものは整理したようだが、ほぼあの時の惨状のまま、碌に片づけられていない。
「八重姫ちゃん、いる?また化け物が出たの!伊東の街を救って!」
いつも天然の美香が必死の形相で訴える。事情を知らない人が見たら、随分おかしな子だと思うだろう。私と百合さんが何も言えず見つめる。それはそうと八重姫様にちゃん付けはいい加減にやめなさいって。
「ふふ…娘、わしでは不足か」と背後で厳かな太い声がした。三人、ぎくっと驚いて振り向く。
堂々とした鎧姿、光る兜をかぶった渋い年配の侍が、腕を組みにやにや笑いながら立っている。物見塚公園の銅像とそっくりな…
「ま、まさか、伊東祐親…様…」「え、八重姫ちゃんのパパ?」
伊東祐親。平安時代末期、貿易や製鉄で伊東を大いに栄えさせた豪族、そして八重姫の父。
「いや無理に様なぞ付けてくれんでもよいがな、先だっては八重姫が随分と世話になったようじゃの。今日はわしが、南蛮の船など蹴散らしてくれるわ!」いや、正体は日本の妖怪なんですけどね。
松川
不敵に微笑む伊東祐親の背後の松川に、和船の大艦隊が現れた。うおおおおお、と拳を上げ雄叫びを挙げるあまたの武士達。
「ああ…これは、伊東水軍!」「これなら勝てるかも!」「良かったねぇ」
「おうさ、目にもの見せてくれようぞ!」
威勢のいい爺さんですこと。

小説 ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

伊東沖海戦 第五章 伊東市役所
市役所
伊東市役所の八階にあるスカイレストラン浜風の窓からは、伊東の市街地から伊東港まで見渡せる。職員の他に一般市民も利用できる食堂だ。普通の社食っぽいメニューもあるが、伊東の海の幸を使ったメニューもある。窓際の席に三人座って食事を始めた。これまでの状況を冷静に分析して話す百合さん。一応は真面目な顔をして聞き役に回る私。話も聞かず、海鮮伊豆ちらしの椀を抱えてにこにこ楽しそうに食べている美香。いつもながらの三人ではある。
「…つまり、天狗が三浦按針に化けたのは、伊東市民に三浦按針に対する不信感を起こさせるためでしょう。仮に伊東最大のお祭り按針祭が廃止されたら、伊東市民が自分で伊東の街を滅ぼしたも同然だから…」
「あ、あれぇ」と美香が突然立ち上がった。「あ、あそこ…」
色んなものを見つける子だ。今度は何が…
窓の外を眺めると、青空の下の伊東港、青い海にサンブエナベンツーラ号が!離岸堤の間を抜け、松川の河口付近に停泊している。呼んでもいないのに何で来るかねぇ。
「いきなり街を壊さないのは…私達を誘ってるわね」と立ち上がる百合さん。
「どうすれば…」おろおろ立ち上がる私。
「あそこに行けばっ」と美香が急に駈け出した。
「美香!どこへ行くの?」と問う私。
レストランを飛び出た美香、エレベーターのボタンをばんばん叩いている。周りの職員たちが呆れてこちらを見ている。私と百合さんが追いついて
「落ち着いてよ」「どうしたの?」
と尋ねた時、ドアが開いた。
「とにかく乗って!」と美香に促され三人乗り込んだ。
下ってゆくエレベーター、その透明な壁から市民ホールのサンブエナベンツーラ号の模型が見える。やはり、さっき伊東港で見たものとそっくりだ。そのそばに建造当時の様子を描いたパノラマ模型。
「それで、どこへ行く気なの?美香」
「もちろん…音無神社」

小説 ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。