誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東妖怪伝 第五章 富戸の海坊主
「大体どういうことか分かってきたけどね。お守りは持った?あえて罠にかかりに行くから」
群発地震の震源地は、大室山は無くなり門脇埼灯台付近だけになった。さあ、見つけてくれと言わんばかりに。大室山の大蛇の次は、富戸の海坊主の取材へ出かける。
昔、富戸の漁師が漁をしていると大きな海坊主が現れ、「ひしゃくを貸せ」と要求した。驚いた漁師がひしゃくを渡すと、ひしゃくは海坊主の手の中でぐんぐんと大きくなった。質量保存の法則って知ってますか?海水を船の中に注ぎ込まれたので漁師たちは慌てて泳いで逃げたそうな。
0219-thumb.jpg「…泳ぎたいねぇ」
私と百合さんは、城ケ崎のダイビングスクールのダイバー海野さんにモーターボートを運転してもらって海の上。真っ白な灯台が、険しい岸壁から雲一つない青空にそびえたつ。すぐそばの吊り橋には観光客達が見える。かなりはしゃいでるみたい。なぜ私達は青い海の上で市役所の制服着て灼熱の太陽にさらされねばならんのか。
海野さん、水面下を捜索中。食べられなきゃいいけど。ふいにボートの後の方で海面が泡立った。ごぼっ、と音を立てて水中眼鏡が現れた。
「化け物が出た?」と笑顔で尋ねる百合さん。こくこく、とうなずいた海野さんは大きな体に似合わず怯えまくってモーターボートに乗り込んだ。
「やっぱり狙われてるみたいね」と冷静な百合さん、海野さんにてきぱきと進路を支持する。
慌ててエンジンを駆け出すボートの後ろに、徐々に黒い頭が現れた。現れるだろうと予期していても怖いものは怖い。巨大な目。ぬめぬめと光る体。太い腕の太い指には巨大なひしゃくが握られていた。
「…デフォルトでひしゃく装備?ずるいなぁ」
馬鹿を言っている私の頭に思いきり海水が浴びせられた。
「だから水着で来たかったのに…」って呑気なことを言ってる場合じゃないっ!
ばりばりばりっ、とボートのエンジンがかかり、急発進する。
ぎょろりと目を向けて追ってくる海坊主。「まぁぁぁてぇぇぇっ」と太い声が響く。怒りと共に風が吹き、波が高くなる。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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