誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東妖怪伝 第七章 伊東市民病院
着替える間も惜しんで、私達は市民病院へタクシーを走らせた。美香も含めて、明らかに私達は狙われている。三人揃っていれば間違いなく現れるはず。
海水に乱れた髪のまま早歩きで病室へ行く私達を看護婦が呆れて見ている。
ばんっと開けたドア、美香の白い顔、大きな目がぽかんと見ている。
かいつまんで事情を話していると、またドアが開いた。
「やあ、お揃いだな」と笑顔の津田課長。じっと見つめる私達に、笑いが止まった。
「どうした?せっかく見舞いに来てやったのに」
「もう分かっているんですよ」と百合さん。
「何が?」
「なぜ課長が仏現寺のお守りを持ちたがらなかったのか」
「……」
「なぜ課長がぶらんぽの取材を取りやめなかったのか」
「……」
「もともと全て課長の発案でしたよね」
「……」
「あなたは美香にとりついて天狗の詫び証文を破らせた。だけど美香に長時間とりつく力は無かった。大蛇には地中から、海坊主には海中から群発地震を起こさせた。だけど大地震を起こす力は無かった。証文による束縛は無くなったけれど、昔の力を取り戻すには、若い娘の生贄が必要。自分と大蛇と海坊主の分、私達三人ね。大蛇と海坊主は退治されたけれど、一人で私達をお召し上がりになるおつもりかしら?」
 怖いことをさらっと言いますね。
「…よく見破った」
課長の赤ら顔がますます赤くなる。課長の高い鼻がますます高くなる。整った髪がばさら髪になる。そう、あの時見えた顔だ。スーツの背がばりっ、と破れ白い羽根が生えた。こんな時ですが課長、天狗にスーツは似合いません。
一斉にお守りを取り出す私達三人。
「くっ」と悔しそうに顔を歪め、天狗は窓へ駈け出した。ばりんっ、と大きな音を立ててガラスを割り、天狗は瞬く間に空へ。
「屋上へ行くわよ!」走り出す百合さんの後を追う私達。廊下に出るや、階段を必死に駆け上がる。ああ、美香回復してんじゃん、良かったね。
pics1574.jpg
屋上に上がると、すでにドクターヘリがプロペラを回し始めていた。どこまで話を聞かされているのか知らないが、若い操縦士が空飛ぶ天狗をぽかんと眺めている。「なんだよ、あれ?」
「早く追って!」ばたばたと乗り込む私達。ばたばたと飛び上がるヘリ。
天狗の小さい後姿が見える。この方向は…柏峠。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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