誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東駅死番線 第三章 一碧湖
がたん、と電車が着地。一碧湖は東に小さい円、西に大きい円があるひょうたん型。私達が下りたのは西の湖畔だ。すっとドアが開いた。
「終点、一碧湖でございます。お降りの際はホームと電車との隙間にご注意ください」…ホーム無いってば。
一碧湖の美しい湖面が緑を映している。遠くではボートや釣り人が呑気そうだが、私達は呑気どころではない。
0179.jpg
湖水を背に立つ和服の女性。綺麗な長い髪、美香を青白くしたような美人だ。これで美香くらい天然ボケな人なら安心だけど。
「いらっしゃいませ、新井魔魅さん、松原美香さん、宇佐美百合さん…でしたね」
「ど…どちら様でしたっけ?」
「私のお知り合いで柏峠にお住まいの方がお世話になりまして」妖怪にも近所付き合いってあるのかな、と馬鹿なことを考える私を、すごみのある妖艶な微笑で眺めている。
「あなた、どこから現れたのかしら」
「あら、頭脳明晰な百合さんらしくもない。私が列車に化けていたのよ」
はっ、と後を向くと、何もない野原、少し先に道路。乗ってきた列車はあとかたも無くなっていた。
「おうちに帰れないよぉ」…それより美香、命の心配をしてってば。
「変身能力?あなたはまさか…大池の赤牛?」
「ええ、そうよ、ご名答」不気味な微笑み方しかできないのか、この女は。
昔、一碧湖が大池と言われていた頃。大池に一匹の赤牛が住み着いた。美女に化けて若い男を水中に引きずり込んだり、龍に化けて湖を渡る人を驚かしたり。村人達が困るのを見かねた光栄寺の日広上人が、湖の小島に渡りお経を唱え赤牛を封じ込めた。経を上げた小島は現在はお経島と呼ばれている。
「天狗でさえもこの街を支配できなかった。あなた達、なかなかやってくれるわね。いきなり水死させてあげても良かったのだけど、天狗すら倒したあなた達のことは面白い趣向で殺してさしあげましょう」いや、お気遣いなく…
不意に美女は四つんばいになった。
女の口が醜く裂け、目玉が飛び出す。更に全身に鱗が生えだした。指には鉤爪、頭からは角が…
「化けている間ににげるわよ!」と百合さん絶叫!

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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