誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東駅死番線 第七章 再戦
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行きたくないけど再び一碧湖に行かねばならない、これ以上の被害者を出さないために。庁用車で一碧湖東岸のボート乗り場へ。この騒ぎでボートなんか貸してくれるのかと思ったが、以前にも妖怪退治をした観光課職員だと説明すると、
「ああ、あのお嬢ちゃんたちかい」と機嫌の良くなったボート乗り場のおじさん、ちゃんと貸してくれた。
「きっと赤牛も退治してくれよ」と頼んだ割には三十分八百円の料金はしっかり取ったけど。
一碧湖東岸から西岸の一碧湖神社の方角を目指す。これって、ほとんど挑発行為というか、自殺行為というか。
青い空、穏やかな湖面、爽やかな風。脚漕ぎの白鳥のボートなどを眺めていると、とても平和な観光日和だ…状況を考えなければ。今日はさすがに釣り人も見当たらない。
百合さんはスマホで伊東市の地図をチェック中。美香はにこにこと晴れた空を眺めながら遠足気分で鼻歌を歌っている。こんな時にぶらんぽのテーマソングかいな。で、一番体力のある私がボートを漕がされてる訳ですが。湖の中ほどを過ぎても赤牛さん、まだ出ない。牛だからのんびりしてるのか。疲れてきましたけど。
「お経島が見えてきたわね」と百合さん。振り向くと、成程お経島の目印の赤い鳥居が見える。木々が手入れもされずに生えた、ごく小さい島だ。「たぶん、そろそろ…」
ばしゃあああっ!と水しぶき。揺れるボート、みんな必死に伏せる。なんとか転覆せずに済んだ。
ボートよりはるかに大きな牛がそこにいた。赤い巨体から水をしたたらせ、険悪な目つきでこちらを睨んでいる。
「お経島へボートつけて!」いや、分かってますけどね。幾ら体力勝負の私でも、いい加減、腕がくたびれてまして。
とにかく必死に漕いで、なんとか鳥居にボートをくぐらせた辺りで、
「もういい、走って!」服が濡れるのも構わずボートを捨てて島へ駆け上がった。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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