誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東駅死番線 第八章 赤牛
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頭頂部から横へ、太く鋭い二本の角が逞しく張り出している。ぶもおおおおっ、と高い雄叫び。鋭い目つき、荒い鼻息。よだれを垂らしつつ赤茶色の巨体を震わせ、こちらへ突進してくる!
「いやぁん」緊張感をそぐ美香の声。
赤牛が巨大な口を開け、乗り捨てたボートをがりがりがりっ、と音を立てて粉々に噛み砕いた。
「百合さぁん、牛って草食だよねぇ、私達食べられないよねぇ…」
「いや妖怪の食生活までは私も知らないけど…」
荒い息を吐きながら疲れた様子で赤牛が島へ登ってきた。お疲れでしたらご無理なさらずに…
赤牛の熱い息が私にかかろうかという時、ざばあっ、と水面からダイバー達が顔を出した。振り向いて驚いた赤牛、怒りに震えてはいるが多少は勢いをそがれた様子。
「かかったわね!」ダイバーは胸元へ、私達はポケットへ手を入れた。一斉に赤牛めがけ腕を伸ばす。私達三人と、ダイバー四人。手には七つのお守り…七福神のもの。
赤牛の怒りに満ちた顔が恐れに満ちた。ぶもっ、ぶもっ、と弱気な鳴き声。
たちまち七つのお守りから閃光が発する。聖なる光に包まれた赤牛。断末魔の悲鳴があがる。
うぎゃああああっ、光の中で赤牛は美女、龍、電車の形態を次々にとる。何に化けても逃れられぬと悟ったのか赤牛に戻るとそのまま燃え尽きるように消えてゆく…
まぶしさに目を細めていたが、光が止み目を開けるともうそこには何も残っていなかった。
ダイバー達が笑みを浮かべ島にあがってきた。
「海坊主の時も怖かったが…」と息をつく城ケ崎の海野さん。お久しぶりです。
「今日はありがとうございます。また変な物が出たらよろしく」と百合さん。
「美人の頼みでも嫌だな…」と苦笑する海野さん。また変な物がでるのは私だって嫌です。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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