誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東駅死番線 第一章 ぶらんぽ電車
シルバーとブルーの伊豆急の車体が、今日はピンクの「ぶらんぽ」のロゴで飾られている。車内までぶらんぽのポスターで一杯だ。ぶらんぽ電車の初めての運行日。ホームには伊東市長や伊東駅長などのお偉方にまじって、伊東マリンタウンのよく分かんないゆるキャラが空気を読まずにうろついている。招待された幼稚園のお子様方が、事情も理解せずに無闇とはしゃいでいる。
伊東市役所観光課の私こと新井魔魅、そして同僚かつ親友の松原美香、先輩の宇佐美百合さんを中心に作った観光パンフレット「ぶらんぽ」。かなり好評なのはうれしいが、ぶらんぽのテーマソングを歌わされたりぶらんぽ体操を踊らされるようになったのは恥ずかしい。
♪ぶらぶらいとう~ いとうぶらんぽ~
と、今日のところは市内のジャズダンススクールの小学生達が体操してくれているので、私達は大衆の面前で恥をかかずに済む。
テープカットなどの式典が滞りなく済み、ピンクのぶらんぽTシャツに身をつつんだ私達三人は電車に乗り込んだ。
「まあ、ぶらんぽも発展しちゃったね」と私。
「みんなの努力のおかげよ」と優等生発言の百合さん。
「よかったねぇ」とのんびり微笑む美香。
0204-thumb.jpg「それではぶらんぽ電車はJR伊東駅駅長様の合図で発車いたします」とアナウンス。駅長さん、昔は発車の合図もしたのかも知れないけど今は何だかぎこちなく合図してるのが面白い。発車のメロディと共にドアが閉まる。
「四番線より一碧湖行きが発車いたします」
「四番線?一碧湖?」と眉をひそめる百合さん。
はっ、と気づいた。伊東駅は三番線までしかない。それに一碧湖には駅なんてない。改めて車内を見渡すと、破れたシート、穴の開いた床が目に入った。綺麗だったはずの車内に埃が積り、蜘蛛の巣が張っている。ぶらんぽのポスターは?一枚もない。
「何、この列車…」驚く私。
「怖いよぉ」怯える美香。
「伏せて!」と百合さんの声が飛んだ。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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