誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東沖海戦 第三章 手石島
手石島
手石島は伊東市の汐吹海岸の沖にある無人島。島のすぐ横にある岩がゴリラの横顔に似ているため「手石ゴリラ」と呼ばれる。
海野さんの自前のボートは炎上したため、ダイビングスクールのボートを借りて手石島へ向かった。青空のもと、見慣れているはずの島が何故か不気味に見える。
「海野さん、ボートに残っていつでも出発できる準備をしていて」と百合さん。「分かった、無茶するなよ」
岩だらけの足場の悪い島に私達三人、上陸した。
「…特に何も無いみたいね」と私が首をかしげると
「たしかに無いわ…弁財天まで無い」と鋭い目つきで辺りを見回す百合さん。
「えっ!」手石島には船の安全を祈って弁財天があるはず…
「ふふ…もう気づいたか。神様など苦手でな」
「て…天狗?」慌てて辺りを見回す私達。
「あれぇ」と美香が変な声を出す。
「どうしたん?こんな時に」
「汐吹岩が…動いてない?」
汐吹公園の汐吹岩は、中が空洞になっており、潮が満ちてくる時に勢いよく海水を吹き出す。かなり迫力があり、遊覧船で見に行く分には楽しいのだが。
「…この島が進んでいるのよ」と冷静に観察する百合さん。汐吹岩はもう大分、右の方。私達は南へ進んでいる?
ぶもおおおおおっ、と叫ぶ鳴き声。聞き覚えがある…途端に島の木が三本まっすぐに伸び出した。徐々にマストの形になり、帆が張られる。島の南端がとがり出し、舳先の形に。ごつごつした地面が平らになり、甲板を形作る。
この鳴き声、そして変身能力、これは大池の赤牛!
おさらい。昔、一碧湖が大池と言われていた頃のこと。大池に一匹の赤牛が住み着いた。美女に化けて若い男を水中に引きずり込んだり、龍に化けて湖を渡る人を驚かしたり、悪さを続けた。村人達が困るのを見かねた光栄寺の日広上人が、湖の小島に渡りお経を唱え赤牛を封じ込めた。以前、現代に復活した赤牛を、私達三人と海野さんのダイバー仲間とでお守りを使って再び封じ込めた…はずだった。
見る見るうちに手石島は完全にサンブエナベンツーラ号に化けた。
「大丈夫かぁっ、ちゃんと生きていろよぉ!」と叫ぶ海野さんのボートが並走している。海野さんはガソリンのタンクを抱えているものの、私達が乗っている船に攻撃も出来ず困った顔をしている。
「どこへ連れて行く気かしら」と百合さんが上を見上げる。
はっ、と見上げるとマストの上に天狗が立ち、いやらしい笑いを浮かべている。
「そうさな、いきなり殺してもつまらん、太平洋の真ん中で溺れてもらうのはどうかな?」
「そんなとこから泳いで戻れるの魔魅くらいだよぉ」と泣き顔の美香。…私をどれだけ体力バカだと思ってるん?

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