誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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伊東妖怪伝 第四章 大室山リフト
ずちゃっ、という地響き。ぶわぁっ、という叫び。
聞きたくない、聞きたくない。見たくない、見たくない。
ふいに百合さんがスピードを落とした。
「追いつかれちゃうよ!」
「追いついてもらうのよ」
「なんでっ!」
0183.jpg
目の前に大室山のリフトが見えてきた。麓に「地震多発につきリフトは休止します」という看板。ちょうど機械室から作業服をきたおじさんが、何も知らずに呑気に口笛吹いて顔を出した。
いきなり走ってきた車に驚いたおじさん、その後ろを見てもっと驚き、茫然、唖然。
「な、なんだぁっ」と叫ぶおじさんの横に急停車。転がり出る私達。
「ねぇっ、リフト動かして!」と百合さん。
「あっ、なるほど!百合さん頭いい!」
「ああ…そうか、やってみる」震える体、血走った眼で機械室へ走りこんだおじさん、レバーやらボタンやら操作している様子。
おじさんに負けずに血走った眼の大蛇さんが、ずりっずりっと追ってくる。よほど長く地中に居たらしく、全身の鱗に苔が生え土にまみれている。巨大な牙の生えた口から吐く生温かい息が、もうそこまで…食べられたくないよお…
がたん、という音に大蛇が首を上げる。リフトなんて見たことないのだろう、不思議そうだ。蛇が不思議がってる顔ってのも初めて見たけど。その鼻先に、がああっと音を立ててリフトが直撃!ぐふうっ、と唸る大蛇。
「やった!もっといけ!」
次々と大蛇にぶつかっていくリフト。青黒い皮膚から赤黒い血が流れる。十個くらいぶつかったところでリフトは停止した。まだ、しぶとくぴくぴく動いている。醜いこぶだらけの頭が、重そうにゆっくりと持ち上がった。
「ダメだ、まだ生きてる…」
大室山の溶岩のような血走った目が、怒りを込めてこちらを睨む。洞窟に居たくせに洞窟のような口が開く。平太クンの刀のような鋭い牙がみえた。徐々にこちらへ近づいてくる。殺される…ああ、死ぬ前に海外旅行したかったな…
と、大蛇にからまるケーブルが引っ張られ、大きな黄緑色の支柱が倒れ出した。逆三角形の不気味な頭に倒れかかる。どどんっ、と頭を一撃で潰す。ぐああああっ!と聞いたことも無いような声。噴出した血で芝生が赤く染まってゆく。大蛇の片目の光が消えてゆく。
「やっと死んだわね」と百合さん。額の汗を拭っている。百合さんでも冷や汗かくことあるのね。
…でも、リフトって私のお給料何か月分かなぁ。

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