誰にも頼まれていないのに伊東市の観光地を紹介する謎の小説
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日蓮伊豆法難 第四章 玖須美館
玖須美館は地頭の屋敷のこととてかなり広い屋敷であったが、その呻き声は屋敷のどこに居ても聞こえるのだった。
「うおおおおおっ」と獣のような声が屋敷を揺らし、家人は眉をひそめる。屋敷の主人、伊東の地頭である伊東朝高は、原因不明の高熱がもう何日も続いている。医師も気休めの処方をするだけで病の特定すら出来ない。
日蓮という坊主が伊東に流されて来るゆえ故意に見捨てて死なせるように、という命令が鎌倉から内々に届いていた。更に、日蓮が実は生きていて密かに布教活動をしている、という噂も近隣から届いていた。放っておけば明らかに地頭の監督不行き届きである。それにしても朝高の病が癒えねばどうしようもない。
朝高の唸り声が漏れ聞こえる奥の間に、家臣達が集まってひそひそと相談していた。みな苦い顔をしているのは当然だが、家老の綾部正清はひときわ苦り切っていた。
「どこの占い師もそう申していると?」
「はい、日蓮に祈祷を頼めと…」
「馬鹿な、あれは流人ぞ。しかも、念仏衆を呪詛しているというではないか」
「しかし、殿の御容態がこれでは…一応は試してみてはいかがかと」
ふうっ、と糞真面目な顔の正清、額に皺を寄せ、
「ここに至っては、やむを得ぬ…日蓮に頼むとするか」
「はい、誰を遣わしましょうか」
「いや、わしが行く」言いさしてすぐ立ち上がる正清。
「は?たかが坊主風情にご家老が?」
止めようとする家臣達に一瞥も与えず部屋を立ち去る頑固な正清であった。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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